あるものを、それ以外のものとしてみていく行為を「見立て」という。
ここでは、写真を用いて、見立ての視点を写真表現として成立させ、
画面の中に、作者と同じものの見方へと誘うための
「最小限の言葉」が添えられている。
写真と言葉が融合し、見るものが作者と同じ視点を共有することで、
効率のいい意思の疎通、つまりコミュニケーションが起動していく。
これはその原理を体得していく演習である。
これまでになかった独創的な食べ物を販売する店を考え出し、
どのような価値を持つ商品をいかなる空間やサービスで提供するのかを、
詳細なディテイルまでよく吟味して検討する。
そしてその店の「名称」を考え、そのマークやロゴタイプをデザインする。
サービスの内容や店の思想を体現したシンボルマークやロゴタイプを
ふさわしい形で作り上げ、それをパッケージや包装紙、店舗空間や広告、
制服などへと展開してみることで、架空の食品店は、
まるで本当に存在するかのように見えてくる。
写真は、売れ残ったけれどもまだ使える野菜を用いた、
エコロジカルな思想で展開するスープ店をヴィジュアライズしたものである。