市町村章はマンホールの蓋に今日も
石塚公輔
市町村章は、オリンピックエンブレムやブランドロゴなど光が当たる意匠と較べて、きわめて地味で目立たぬ存在だ。暮らしのなかに散見されるかたちが注目されることは少なく、マンホールやゴミ袋にひっそりと棲息している。その見過ごされがちな市町村章を慈しみ、その歴史性やデザインの系譜を怜悧な分析し、ダイアグラム化を試みた。その全容を俯瞰する試みには脱帽する。また、市町村章のみで描き出された日本地図には、サイズなどの恣意性はあるが、ほぼ正確な位置に配置された紋章の集積に圧倒される。