Typeface of 1min.
髙室 湧人
髙室湧人は、「1分」という時間を表現する時計的なモーション・グラフィックスを追いかけていた。ある時、文字を回転させ、それによって「1分」が表現できることに気づいた。「時計」という表現から離れることで、むしろ時間に出会うことができたのである。高室がデザインした「1分」は、一秒ごとに薄くなっていく文字の形の積層によって、一秒一秒が過去化していく風景となっている点が秀逸である。世界が一秒ごとに過去になっていく光景には不思議な無常観が漂ってさえいる。時間あるいは過去が描写されつつ、同時に「言葉」として放たれるメッセージはとても詩的である。
(担当教員 原研哉)