Ex-formation 女
flora
多田 明日香
色鮮やかな押し花でレントゲンのような骨格を作っている。押し花とレントゲン撮影された骨のイメージ、この二つを直感的に連携させるインスピレーションを多田がどこで得たかは分からないが、確かに押し花の乾燥した透過感は、レントゲン写真に似ている。しかしそれで全身の骨格を作り上げてしまうという執拗な情熱は普通ではない。特に、カラフルな花の押し花で描き上げられた骨格は、美しさと死、華やかさと厳粛さが融合した不思議な感慨を見る者の胸に呼び起こす。かつて岡倉天心が「茶の本」の中で、もしも「花」というものがなかったならば、人間はその生き死にに不自由するだろうということを語っていた。確かにそうかもしれない。「花」はその特別な存在感によって、僕らの生死を支えている。同じ直感がこの作品にはあり、花と女、生と死を、美的な感動を介して循環させる不思議なイメージを呼び覚ますのである。
(担当教員 原研哉)