モノの刺身
江田陽子
モノのリアリティを新鮮に感じさせる手法として「刺身」というメタファを用いた作品である。プロダクツをスライスして刺身の「平盛り」の様相で左から右へと並べていく。この規則を、歯磨きチューブ、マッチ箱、防災頭巾、蚊取り線香のパッケージなどなど、見慣れたものに適用している。一見写真のように見えるが、全てアクリルガッシュで描かれた手描きのイラストレーションである。眺めていると、巧みな絵画表現に引き込まれるだけでなく、最後にはこれらのプロダクツを「おいしそう」と感じてしまう。傑作のヴィジュアル・レトリックである。(原研哉)